今でもおまえが怖いんだ
来年行われる子どもサマーキャンプの企画を丸ごと任されている彼は、最近仕事を家に持って帰ってくることが多い。

来年まで今いるスタッフが全員いるとも限らないし利用者だって抜けるかもしれないのにね、と現実味のない仕事にあまりノリ気ではないようだ。

いくらでも穴が開いて良いようにと作ってみた企画書はもっとちゃんと練って来いとつっ返されてしまったらしい。

「でもさあ、就労部門の田口さんだって今年度中に辞めたいって言って転職してるし、小川さんだって産休に入るだろうし、頭数に入れたら不味いじゃん。で、求人かけたってうちみたいなブラックに誰が来るんだよって話だし」

ブツブツと呟く言葉には棘がある。

そんなブラックな会社を突然辞めて穴をあけてしまった手前、私は彼の仕事に対して口を出すことが一切できない。
ただ笑って聞き流しているとそれはそれで「何か言ってよ」と言われてしまう。

私に対して悪意とか悪気とかは一切ないのだろうけれど、仕事で気が立っている時の彼は少し怖い。
私にも当てはまることを口にするからなんだか攻撃されている気分になってしまうことが多い。
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