極道上等!!
その一

私の秘密

放課後、商店街にて。

私は学校を終え、家に帰る最中だ。

ドンっ

見るからにチャラそうな男が買い物袋を下げたおばあさんにぶつかる。

「あぶない!!」

私は慌ててよろけたおばあさんを支えた。

「大丈夫ですか!?」

「あ…ありがとうございます。」

よかった…。怪我はないみたい。

すると、ぶつかった男が怒鳴り始めた。

「ってぇな!おい、ばあさん!」

「は、はい?」

「なにぶつかってきて謝らねえんだよ」

はぁ?ぶつかってきたのはそっちじゃん?

あ〜イライラするな。

「いや〜今ので腕折れちゃったよ
慰謝料もらいましょうかねぇ!」

そう言っておばあさんを引っ張ろうとする。

もう、限界。

私は男の腕を掴む。

「ちょっと、私見てたけどぶつかってきたのはあなたのほうじゃない」

男はこちらの方を向くと

「はぁ?邪魔すんじゃねえクソアマ!」

と殴りかかってきた。

突きが遅い。

私は避け、そのまま男の腕を掴んで投げた。

ダァン!!

そこへすかさず顔面スレスレの位置に拳を突きつける。

「おばあさんに謝りなさい」

男は何が起きたか分かっていない様子。

「ちっ、うぜぇな!」

起き上がって逃げていった

周りからは拍手が沸き起こる

いや、みなさん、見てたなら警察でもよんでよ、

一応、女の子が男とケンカしそうになったんだよ?

こんなか弱そうな乙女が・・・

「皐月!」

「げ、瑛汰!」

コロッケを持って駆け寄ってきたのは御守瑛汰(みもりえいた)。私の幼なじみだ。

私にコロッケをひとつ手渡すと

「も〜俺が居ないところでケンカとかやめろよな。俺が親父さんに怒られるんだから」

なぜ、瑛汰が私の父に怒られるのか

私がこんなに、強いのか

不思議に思ってるそこのあなた!

答えはもう分かりますよ

私は着いた家の前に立つ。瑛汰が門を開く。
すると・・・

『お帰りなさいませ!お嬢!』

ずらりと並び、声を揃えて挨拶をするのは執事?いいえ、強面の男達。

そう、私はこの町を裏で牛耳るヤクザ《鬼島組》の一人娘、鬼島皐月(きじまさつき)なのである。

そして瑛汰もただの幼なじみではなく、私のボディーガードをしている。

御守家は代々うちに仕えてきた家系で、まぁ、右腕のようなものだ。瑛汰のお父さんもまた、私の父鬼島剛司(きじまつよし)の秘書兼ボディーガードをしている。

意外とそれなりに歴史ある組なんです。

家に入り、バカみたいに長い廊下の突き当たり。

「失礼します。皐月です。ただいま戻りました」

「おぉ、入れ」

障子を開け、中に入る。

「おい、お前らは外れろ」

「へい」

父は部屋の外にいる守衛さん達を外させた途端・・・

「さっつきちゃ〜ん!おっかえりぃ〜!」

父は、私にベロベロに甘い。

そこら辺の砂糖菓子よりよっぽど甘い。

しかし、この姿を絶対に子分たちには見せない。

「キモイから!」

「えぇっ!さつきちゃんそんなこと言わないで〜」

思春期!察しろ!

「で?なに?」

「えっなにって?」

「だーかーら!部屋まで呼び出した理由よ!
いつもは学校から帰ってきてもすぐには呼び出したりしないじゃない」

そう。いつもだったら夕飯のあととか寝る前とかなのに。

どうした?

「あー実はな・・・」

少し気まづそうに目をそらす

「なに、早くしてよ」

睨んで圧をかける。

お腹空いたし、何よりこのバカ親父に時間をとりたくないしね!!

「あーじゃ、まず、この辺は田舎だろ?」

「それが?」

「ちょっとしたトラブル?みたいなもんでな…ハハハッ
お前、轟組に嫁にいってくれ」

・・・んー?イマナンテイッタ?

「え、ちょ、なに」

「だから、皐月、お前は轟組の組長の嫁になるんだよ!」

・・・
「はぁぁぁぁああ!?」

ちょっと待て!あたしまだ18!

人生決まるのはやくない!?てか、旦那が組長って!

「いやー俺もな、大事な大事な一人娘を嫁になんか出したくないよ!」

「じゃ、なんでそうなるのよ!」

「むかーし約束しちゃったんだよね☆」

だよね☆じゃなーい!!

「てか、轟組ってあの!?」

轟組とは日本のなかでもトップと言われている極道中の極道で国内に敵はまずいない。

そんな所に嫁って!
娘を武器装備なしで戦場にいかせるようなもんよ!

「とゆー訳でな、お前は明日から向こうの学校に通ってもらうからな。あ、一応瑛汰も付けておく
轟組のヤツには話しておくから。
じゃ、頑張れよ!」

肩にぽんと手を置かれる

「って明日から!?はやくない!?」

「まー何事も早い方がいいだろ。うん」

1人で納得すんな!

「嘘でしょーーーーー!?」

こうして私の人生のルートの間違いはここから始まった…
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