明日キミに聴かせたい
その日、私たちは学校の方針で全員帰宅を指示され、家に帰された。

しかし、私は家に帰ることなく羽流の家の前に立っていた。

そしてインターホンを鳴らそうとした時……


「奈津」


奈津から[学校から帰宅命令出た。]とメッセージが来てたからなんとなくもう着く頃かもしれないと玄関のドアを開けると、ちょうど奈津がインターホンを押そうとしていた。


「羽流…あの…」

「さ、入って」


ドアを閉め、鍵をかけると後ろから母がタイミングよく部屋に入る奈津にお菓子とジュースが乗ったトレーを渡していた。


「ゆっくりしてってね」

「ありがとうございます…」

部屋に入ると、テーブルの上に母から受け取ったトレーを置き、鞄をテーブルの横に置くと、ベッドにもたれ掛かりながらベッドに座る私に話し始めた。


「羽流、メッセージ読んだ?」

「うん、その例の写真見せて」

「うん…これ」

奈津から届いたいくつかのメッセージには、私のクラスである5組で今朝から起こった嫌がらせについてが書かれてあった。

下駄箱に白と黒の折り鶴が大量に入っていた事、落書きとびちょびちょになって切り刻まれた教科書が机に入っていた事、一斉送信されたかなり際どい姿の自撮り写真の数々に、あの日の出来事の音声が流れた事。

それらのメッセージを読んだ時、私の脳内は津波のように一気に感情が押し寄せ、パニック寸前になっていた。





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