明日キミに聴かせたい
そして迎えたライブ当日、ライブ活動をしていた頃に見た景色とは少し違う沢山の人たちのリズムに乗って口ずさむ姿や、手を振りながら叫ぶ姿に戸惑いと喜びを感じながらも、榎絃の歌声、秋臣のドラムの音、柊斗のベースの音を耳に弾く自分のギターと、視界に映る光希の姿があの頃に戻ったような感覚にされた。
「ハルーー!!!」
ああ、手を小さく振る春音が嬉しそうに笑う姿が見えて、ライブ中に何度も名前を呼ばれる度に涙か込み上げた。
俺がしたことはきっとしちゃいけなかったよな。
ごめんな自分勝手な彼氏で。
こんな俺でも誰かを今度はちゃんと救うことが出来るだろうか?
ちゃんと気づいてあげられるだろうか?
耳を傾けて寄り添ってあげられるだろうか?
自信がないんだ。
君がいないとこれから先ちゃんと間違いに気づけるのか、ちゃんと歩んで行けるのか、自信なんて一ミリもないんだ。弱い弱いこんな俺でごめんな。
いっそあの頃に戻りたいよ。
君を抱きしめて、君と手を繋いだ時の温もりが思い出せなくて怖いんだ。
"高志くん見て!!"
ふと真っ暗なステージから見た世界は、お客さんが持つペンライトでキラキラした星空が広がっていた。