明日キミに聴かせたい
ガチャッとドアが開く音がしたのとほぼ同時に「話せた?」と光希さんがひょこっと顔を出した。
「うん。ありがとう光希」
「あーあ、また羽流ちゃん泣かせて~名雄に言ってやろ~言ってやろ~」
「お前小学生かよ」
「フン!羽流ちゃん大丈夫?なんか高志がごめんね~よしよし」
あちらこちらから頭を撫でられながら私は、二人の温もりが、優しさがただただありがたかった。
聞けば私に会いたいと光希さんに話したのは高志さんだったという。
なぜなのかと高志さんに聞くと「ライブしてる時に君を見つけて…」と言いながら「あの時の子だと気づいて、あの日より少し明るく見えたんだ」と続けた。
「俺の歌を聴いてくれてるって聞いてはいたから、会って…そうだな……うん。きっと自分が救われたかったのかもしれない……自分がやっていることや抱えてる想いが間違っていないのか、誰にとっての何かになれているのかを……俺こう見えて全然強くなんてないからさ。ははは」
ピンポーンという音と共に光希さんは部屋を出て玄関へと向かい、私は高志さんに抱きついた。
「そんなの……高志さんだけじゃないです…私なんてもっともっと弱い人間です」と呟きながら。