明日キミに聴かせたい
少し寄り道をして帰った夕暮れ。
『春音』の発売を記念してチャットのインタビュー記事が載った音楽雑誌を広げてページをめくれば光希さんがかっこつけながらメンバーと写っていて、少し口元が緩んだ。
そしてチャットのインタビュー記事を読み終えて次のページをめくった時、私は直筆で書かれた誰かの文面を見た。
ー『春音』は聴いて頂けましたでしょうか?
この『春音』という曲は僕が愛する人へ向けたラブソングになっています。その人はメンバーにとってもとても大切な存在でした。
さて、僕が昨年出させていただいたアルバム『明日キミに聴かせたい』の話を少しさせて下さい。
このアルバムはそんな愛する人の命日の1日前に発売されました。
そしてタイトル『明日キミに聴かせたい』に込めたものは、彼女が命を絶つ前にもしもこのアルバムのような歌があれば、聴いてくれていたなら、彼女は今も自分の傍にいてくれていたかもしれない。
けれど、現実はもう何一つ変えられない。
だから、今、死にたいぐらい辛くて苦しくて涙に濡れているキミにどうか聴いてほしい。生きてほしい。そんな意味を込めています。と書いたところで届かないかもしれない。響かないかもしれないけれど、キミの涙に気づきたくて、寄り添いたくて、救いになりたい。だからどうか一度聴いてほしいです。
そして、もしも今、この文面を読んでいるキミが全てを乗り越えて愛する人の傍にいるならば『春音』を一緒に聴いて頂けたら幸いです。
コウ
その文面を私はページに穴が空くぐらいにらめっこしながら何度も読んだ。