リングサイドブルー
当たり前に受けていた指導が、実は当たり前じゃなかったと気づいて、千晃は初めて優月自身の考えが気になった。そういえば、これまで一度も優月の気持ちを考えたことなどなかったかもしれない。

 ID認証を終わらせて、千晃がPCを起動したとき、橋爪が口をひらいた。
「とにかく、首藤には手を出すなよ。女欲しいなら他にしろ。佐倉もだめだ」

「ああ、いつもお茶持ってきてくれる子か。可愛いっすけど、好みじゃないですね。痩せた女にもいい思い出ないし、どっちみちいろいろあって、しばらく彼女作るのは無理なんで」

「ほう。なんでか最近、その台詞方々からよく聞くな。禁欲するとなんかいいことあんのか?」

「いいことっつーか……」

「めんどくせえな。女みてえに思わせぶりな話し方すんじゃねえよ。普段どおり、ふてぶてしい顔して何でもしれっと言っときゃいいのによ」
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