さざなみの声


 玄関のドアが開いてシュウが帰って来た。

「ただいま。店すごい人だったよ。あれじゃあ出前は無理だね」

「ありがとう。じゃあ美味しいお茶を入れて、いただきましょうか」

 食事を済ませて、しばらく待ったけれども

「父さん遅いね」

「そうね。また寧々さんと会う機会は、いくらでもあるわ。今夜はもう送って行ってあげたら? 明日は仕事ですものね」

「じゃあ、また伺います」

「えぇ、いつでも来てね。楽しみに待ってるから。ねっ、シュウ」

「分かったよ。分かりました。ちょくちょく連れて来ます」

 おばさまと私は笑っていた。玄関で

「ごちそうさまでした。おやすみなさい」

「気を付けてね。おやすみなさい」

「母さん、ここでいいよ。外で転んだりしたら大変だから」

「えぇ、ありがとう。シュウ、ちゃんと送って行ってあげてね」

「うん。じゃあ、おやすみ」

 私たちは車に乗ってシュウの家を後にした。
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