虚愛コレクション
継ぎ接ぎの言葉を発した彼を見上げた。
「だって……透佳さんが馬鹿らしいなんて言うから、追い掛けたくなったんです」
「俺のせいにしないでよ」
手を貸す、なんて彼にそんな優しさは無くて、ポケットに手を突っ込んだまま微動だにしない。私は地面に座ったまま。
昼間に熱された地面のコンクリートは冷えはじめて、触れた肌に生温さ伝えてくる。
「助けてくれないんですね」
と言いながら無理矢理でも助けてもらおうと手を伸ばすと思いの外、すんなり立ち上がらせてくれた。
当然に手が力強い。何故だか酷く痛く感じた。
そしてやはり優しさなんてものは彼の中にはない。
「アンタって、ほんと子供だよね。ヒールで走るし、また転けてるし、助けてくれるのが当たり前だと思ってるし」
遠慮もなく私を貶すように言われた。怒るよりも先に私は彼にすがり付いた。
だって全部その通りだったのだから怒る事も出来ないだろう。
「思っちゃダメですか?子供でいちゃダメですか?」
「別に。いいんじゃないの。けど、馬鹿みたい」
また、さっきと同じ言葉。暗く静かな細道で発された事は耳に確かに届いた。
彼の手を支えにしながら、足の痛みを堪える。膝は赤くなっているだけのようだ。