虚愛コレクション
今度は私は瞬きを繰り返す番。
何だかんだいいながら、私の言っている事はかなりの屁理屈で、大学生ともなる人から見れば子供の馬鹿げた戯れ言だと思われると自覚していたからだ。
親の心子知らず。まさにそれのように。
だから、思わず拍子抜けしたのだ。
「何?」
やはり眠気を飛ばそうとしていたのか、彼は先まで寝ると言っていたにも関わらず起き上がり壁に背を預け、聞いてきた。
寝癖をついた髪を気にもせず、無表情に此方を見ている。ああ、いつも無造作な髪型なのは寝癖すら直してないからかと、今関係ない事を思いながら首を傾げた。
「普通なら、親の事悪く言っちゃ駄目だなんて言うんじゃないんですか?」
「……なんで」
何故か彼は反発的に感じて、一瞬戸惑いを覚える。
何となく踏んじゃいけない気もしたのに、私は恐る恐る足を踏み入れた。
「だって、親は大事にしなさい。とか、親孝行しなさい。とか、誰だっていいますよ?」
「あー……そうだね。そうだった」
けど、と彼は続けた。それはさながら吐き捨てるかのように。
「感謝できないような人が親ならそんな事微塵にも思えないね」