虚愛コレクション


「だから言ってるだろ?僕を1番にすればそれで良いって。それだけで居場所が出来るんだから容易いのに」


どうしてそうしないのか、と言いたげな目を私に向ける。

神楽君は私の望むものをくれる。だから、私の中できっちりと順位を付ければそれで完結する。

友達を望めば友達に。恋人を望めば恋人に。そこに神楽君の意思など関係ない。

満たされない気持ちが満たされる筈なのだ。

でも。


「そんなのって虚しいだけじゃない。本物じゃない」

「……」


神楽君は何か言いたげに、二度、三度、口を開いた。それでも一度グッと唇を噛み、言葉を飲み込んだようだった。

そして、パッと表情を切り替えてまた人懐っこいような笑みを浮かべる。


「――あ、そーだ!祈ちゃん、祈ちゃん。デートしよ、デート」


またこの流れかと溜息を吐きたくなるのを何とか押し殺して首を横に振る。


「デート、なんて私としても楽しくないでしょ」

「そうだな、ただのデートじゃつまらない。だから」


“二人で悪い事をするんだよ”


ニヤリと犬歯を見せ、言葉と同じように悪い笑みを浮かべた。



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