虚愛コレクション
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お昼休みのチャイムが鳴る前に、私と神楽君は学校外に出てきていた。
「悪い事ってこれ?」
「そ!優等生がやる悪い事の定番中の定番、サボり!」
声を高らかに上げて、跳ねるような足取りで私の数歩先を駆ける。
神楽君は、わざわざ私服を取りに家に帰り、着替えているのだが、私はと言えばその上からコートを羽織って制服ごと隠していた。
家に帰って母親がいたら困るとごねた結果、神楽君のコートを借りているのだが、全体的に少しだけ身の丈に余るくらいで殆どピッタリだった。
あまり体格差はないらしい。
「……私、皆勤賞だったんだけど」
と言いつつ、サボる事になると分かっていて着いてきたのは紛れも無く私自身の判断で神楽君を責めれるはずもない。
「皆勤賞は諦めてもらうしかねぇけど、心配しなくても祈ちゃんは先生に怒られたりしねぇよ。多分、僕が真っ先に疑われるだろうし。またか、今度は人を巻き込んだサボりかって」
「……?神楽君そんなにサボってるの?」
「時々だよ、とーきーどーき。この授業だけとか、午後だけとか単位に差し支えない範囲で」
なるほど、とようやく思う。私服とは言え、やけに堂々としているのは慣れから来ているらしい。
とは言え、私はサボる事などないので少しだけソワソワと辺りを見渡してしまう。