虚愛コレクション
小一時間ほど、神楽君に促されるままにゲームをしていただろうか。
外に出るころにはやけに疲れて、ぐったりとした気分になっていて、外の空気が美味しく感じる程だった。
しかし、なんだろう。
「はーー!楽しかった!」
「……」
楽しい?いや、そうじゃない。
神楽君は大きく伸びをしながら満足そうな表情を浮かべている。
「にしても、祈ちゃんがあんなに大声だしてるの初めて聞いたから、何か面白かった」
「何それ」
と言う声が少しだけ枯れている。
店内が喧騒に飲まれているのを良い事に、歓喜だったり恐怖だったりを叫ぶだけ叫んだのだ。
ああ、そうだ。これだ。
「でも何か、大声出したらスッキリしたような気がする」
ずっと、喉に引っかかっていたものが取れたような気がする。
ここ数日ずっと釈然としない嫌な気持ちが滞在していたのだ。
もしかすると一時的な物なのかもしれないけれど。