虚愛コレクション
仕方がないので、コートのポケットに犬の首が出る程度に押し込んでいれば、神楽君はこの筐体から離れ始める。
逸れても困るので、最後にぎゅっと犬の首を押しつぶすようにポケットに押し込んで小走りに駆け寄る。
今度はまた違うゲームをするらしくお金を投入する。
「はい、今度はこれね。二人で出来るから」
「??どうするの?」
全くもってやった事がないので、首を傾げるしかない。
神楽君に渡されたのは妙に重量感があり大きい拳銃のようなもの。
「トリガー引いて、出てくるゾンビを撃つだけだよ」
「ゾン……?」
「ほらほら、始まった」
「へっ!?え?!わっ、気持ち悪!?」
何が何かも分からないまま、モニターを見遣れば血みどろのグロテスクなゾンビが此方に向かってきていた。
「う、わっ!?やだやだ!」
「あっはは!そうそう上手い上手い」
私のテンパる様が滑稽なのか隣では笑い声が聞こえてくる。それでも的確に敵を倒していくのだが、私はと言えば叫びながら必死にゲームに投じていたのだった。