虚愛コレクション
ぐるぐると廻る気持ちを手にするままに吐き出して、きっと言っている事は支離滅裂だっただろう。
それでも神楽君は、私を受け止めるようにぎゅうっと頭ごと抱えるように抱きしめた。
人の生きている鼓動を耳にして、人の体温を感じて、どうしてこんなに安心感を得てしまうのだろう。
不意にまた、泣いてしまいたくなった。彼にはちゃんと泣けるようになった方がいいと言われたけれど神楽君の前で泣いてはいけないのだ。そんな資格などない。
グッと唇を噛みしめた。
それでも、その温もりから離れがたくて、ギュウッと神楽君の服を握りしめてしまう。
滑稽な自分に思わず乾いた笑いが込み上げた。
「ははっ……きっと私、透佳さんと出会った日に透佳さんじゃなくて神楽君と出会ってたら、神楽君の事好きになってたんだろうなぁ……」
なんて、そんな事すら思えてくる。先に『神楽君を一番にしていた』と自分で口にしておきながら否定した言葉を今度は肯定する。
彼を想う気持ちは嘘じゃないと思いながらも、今にして思えば嘘を吐いた自分自身に騙されていたのかもしれないとも思う。
けれど、頭上では首を横に振った返答が返ってくる。
「そこまで節操のない子じゃないでしょ。透佳さんと違って」
「あはっ……」
それは確かに違いなくて、でも思わず笑ったのはその事ではない。
間違いだと言う反面、いつだって私を肯定してくれる神楽君の優しさに笑ってしまったのだ。何処まで肯定するつもりだと。
そこまで肯定した所で、神楽君にとって利点などない。私を思いあがらせて、自分を正しいとばかり思いこむ化け物になってしまうだけだ。
彼の言葉を借りるなら『再刷り込み』
肯定されて生まれてしまった別の私は、確かに神楽君に追従するようになっていたのかもしれない。再び依存を始めていたのだ。
だから、
「――……異母兄弟なのに、透佳さんとは全然性格が違うんだね」
そんなのはもう、終わりにしてしまった方がいいのだ。
例え傷つけても。