虚愛コレクション


部屋に何となく滞在してる間に、時間も時間になっていた。彼の中には追い出す選択肢が元々ないらしく、私の相手をする気も殆んどないのに何も言ってこなかったのだ。

居ても居なくても同じ。とでも言いたいのだろうか。

それでも、そろそろ帰らないといけないので側に置いてあった鞄を肩に掛け立ち上がると、ソファーに寝転がって雑誌に向けていたであろう視線が此方に移った。


「帰んの」


引き留めている訳ではなく、只の確認なのは無感情な様子からは一目瞭然。だから特に何かを思うでもなく、首を縦に振った。


「はい。明日も学校ですし」

「ふぅん。って言うかさ、さっきから気になってたんだけどそのウサギ何」


質問と分かりにくい喋りと共に、細い指で指されたのは千代に貰ったウサギのキーホルダー。折角なので鞄に着けて活用していたのだ。


「誕生日プレゼントです。可愛くないですか?」


活用しつつ、凄く気に入っているので数日つけた後、汚れたりしないよう部屋に飾っておこうと思っていた。

思わず笑って彼に見せてみれば


「可愛くない」

「え、」


予想外の言葉。それに少々不満を覚えた。なかなか手に入らないレア物の部類なのだが、感覚が違うのだろうか。

可愛いと思うのにな。と口を尖らせてウサギをひと撫でする。手触りは心地よく、垂れ気味の耳が愛らしい。

釈然としないでいると彼は言った。


「けど、それ持ったアンタは物凄く可愛い」



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