雨宿り〜大きな傘を君に〜
ふかふかの白いソファーと、テーブル。
大きなテレビ。
綺麗な海が描かれた絵画。
お洒落な収納棚には、いくつかのトロフィーと賞状が並べられている。
そしてカウンターキッチン。
広々としたリビングは、アパート暮らしの私には目新しい。
「今夜は泊まって行きなさい。緒方さん、ずっと君からの連絡を待っていたんだ」
「でも、緒方さんの留守にお泊りするのは…」
帰ってゆっくり眠りたい。
狭いアパートだけれど、私が1番快適に過ごせる場所だから。
でももし崎島が待ち伏せしてたらどうしよう。
もう9時だし、さすがに帰った?
「このまま君を返したら、俺が怒られるよ。まずは夕飯にしよう」
いいのかな。今夜だけでも、お世話になろうかな。私が帰ると言い出せば、菱川先生はきっと送ってくれる。
それはそれで迷惑だよね。
「それではお言葉に甘えて、今夜はお世話になることにします」
「遠慮する必要はないよ」
優しい瞳が私を見ていた。