俺の「好き」は、キミ限定。
 




「そのニヤけた顔が、いい加減ムカつくんだけど」


騒がしい昼休み。

携帯電話に届いたミオからのメッセージを読んでいたら、正面に座るナルから鋭いツッコミが入った。

すぐに顔を上げ、慌てて口をキュッと結んだけれど、「今更遅い」と軽く一蹴されてしまう。


「ユウリは最近、頭も顔も緩みすぎ」


あからさまな溜め息をつかれて、今度こそ顔が熱くなった。

ミオとテレビ電話をしてから、早二週間。

初めてのテレビ電話はやけにミオとの距離を近く感じて、照れくさかった。

勉強も全然捗らなかったし。

机に向かって、ふと顔を上げると自分と同じように机に向かう、ミオがいる。

伏し目がちなミオは時々流れた髪を耳にかけたり、小さく溜め息をついたり。

その様子は見ていて全然飽きなくて、勉強なんてまるで手につかなかった。

 
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