俺の「好き」は、キミ限定。
 


だから後先考えずに、今日はもう寝よう、なんて提案をした。

ミオを前にしたらどんな顔をしたらいいかわからなくて、ベッドの中に逃げたんだ。

だけど、その自分の提案が失敗だったと気づいたのはテレビ電話越しに、一緒にベッドに入ったあとだった。


『なんかさ、これって……隣で寝てるみたいで、ヤバイね』


真っ暗な画面には、同じように横になったミオが写っていて、ドキドキせずにはいられなかった。

息遣いさえ聞こえてきそうで、思わずミオから目を逸らして今度は自分が睫毛を伏せた。


『ミオ? もう寝たの?』


だけどそのうち、ミオの返事が段々と途切れ途切れになってきた。

気がついたときにはミオは薄暗い明かりの向こうで目を閉じて、スースーと気持ちよさそうに寝息を立てていた。

……可愛い。なんて、思わずにはいられなかった。

好きな子の寝顔を見られることが、こんなにも幸せな気持ちになるんだと初めて知った。

 
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