パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
妊娠……しているのだろうか?
自分ではよくわからないんだが。
だが、これ、違ってたら、どうなるんだろうと思うくらい周囲が盛り上がっている。
いろんな意味で……と恨めしげに、こちらを見ながら去っていった圭太を思い出す。
芽以はもともと周期が狂わない方だったのだが。
仕事を辞めたり、店に出たり、結婚したりと、ちょっとバタバタしていたら、睡眠不足になったりして、此処のところちょっと不順になっていた。
だから、可能性はゼロではないが――。
うーん。
食べ物に匂いを嗅いで、嘔吐がつくことはあるけど。
まあ、これはいつも通りだしな、とトレーの上のパクチーを見て、芽以は思う。
っていうか、お義母さんの期待がすごすぎて、違ったらどうしようと思って、確かめたくない……。
逸人さんもなにも言わないけど。
なんだか仕事中も、いつもより気遣ってくれてるみたいで、チラチラこちらを見ているし。
そう思った瞬間、キッチンに居た逸人と目が合ったが、さっとそらされる。
うーむ。
要人警護の人みたいな目線だったな、今の……。