パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~

 そういえば、日向子さん、パクチー平気になったはずなのに、いつも抜いている。

 まさか。
 静さんがパクチーが嫌いだから?

 そう思ったとき、逸人が溜息をついて言ってきた。

「聞かれてたんなら、仕方がないな」

 スナイパー様が深刻な口調でそう言ってきたので、愛する夫だというのに、殺されるっ! と身構えてしまった。

「お前、この間、話してたろう。
 森の……。

 大丈夫か?」

 見る見るうちに青ざめてきた芽以に、逸人がそう訊いてくる。

「す、すみません。
 やっぱり、目眩が……」

「そうか。
 早く横になれ」
と言う逸人に連れられ、部屋へと行った。
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