初恋はあなたでしょう
リップクリーム
幼馴染みに恋人が出来た。

俺は誰より幼馴染みの好みを知っている。
良いところも駄目なところも分かってたはずだ、俺は前に出るタイプじゃないからこれは仕方ないと思ってる。

前に出るタイプじゃない俺が幼馴染にする日課がある。

朝家から出る前に玄関でリップクリームを塗ることだ、幼い頃から成長した今までで距離が近くなるその瞬間は何にも変えがたい。
君を独り占めしたようで直ぐに現実に戻る瞬間は儚い。


これからは、一緒に帰ったり休日家を行き来したりはしなくなるだろうから最後のリップクリームだ。


でも、俺は直ぐにそんな日課が戻ってくれと思う酷くて意地のないやつだから。

今日のリップクリームは丁寧にまた塗れるように思いを込めつつ塗ろう。
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