溺愛総長様のお気に入り。


***



──────パタン。


静かにしまった扉を、あたしは見ていることしかできなかった。



ここにはいま、あたしと煌さんのふたりだけ。

『俺だけのモノにするから───』

そんなことを言った後。なぜか。
翔和さんが、千春ちゃんと南里くんとハクさんを連れて部屋の外に出て行ってしまったのだ。




あの、これは……。


不本意にも、煌さんとふたりきりにさせられてしまい、冷汗半端ない。


男ギライのあたしが、どうしてこんなに怖い人とふたりっきりになってるんだろう。


いったいこれはどういう状況?


しかも今、すごいこと言ってたよね。


鳳凰の姫っていうのもとんでもないけど、その、俺だけのもの……とかいうのもご遠慮したいんだけど。



「二宮愛莉」


「……はいっ」



いきなり名前を呼ばれて背筋が伸びた。


フルネームで呼ばれるのって怖い。

< 101 / 401 >

この作品をシェア

pagetop