溺愛総長様のお気に入り。
決めた……って。
そこにあたしの意志を汲んでくれたりしないのかな。
「親父さんに頼まれちゃあ、な」
不適に口角をあげ勝ち誇ったように言う。
「もちろん帰りもな」
か、帰りもっ?
「いいよな」
……汲んでくれないみたい。
聞いてくれてるようで、そこにはノーなんて選択肢はないんだろうから。
「男に二言はないからな」
ニヤリと笑う煌くん。
う~っ、お父さんまで味方につけたような顔して……。
「てことで、これから朝は今日の時間に迎えにいくから」
ゆっくり手が伸びてきて、あたしの肩に回される。
ふわりと漂う甘くていい香り。
もう鼻が覚えた彼の香り……。
こうしていると、彼が暴走族の総長だなんてことを忘れちゃう。
優しいのか、そうじゃないのか。
こんなの嫌でたまらないのに……不覚にも、胸がドキドキしてしまった。