溺愛総長様のお気に入り。
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「朝からそんな疲れた顔してどうしたの?」
登校するなり、千春ちゃんから鋭い指摘が入った。
ほんとその通り、一日駆け抜けたかのようにすでに体は疲れ切っていた。
きっとあたし、いまものすごいげっそりしてるんだろうなぁ。
「あのね……」
わけを話すと、千春ちゃんはにやりと笑う。
「狙った獲物は逃がさないって感じだね。さすが鳳凰の総長」
獲物!?
あたし獲物なの!?
物騒な言葉に身震いする。
「ここまで来たら愛莉も大人しく諦めなさい!」
「千春ちゃ~ん!!」
そんなのひどいよ~。
「普通は願ってもない待遇なんだからね!」
「そんなぁ」
だとしても、あたしは全力でイヤなのに……。
まるであたしが普通じゃないみたいな言い方にもグサッとくるよ。
「それより、早くあたしたちもジャージに着替えてこなきゃ!」