溺愛総長様のお気に入り。


***


「朝からそんな疲れた顔してどうしたの?」



登校するなり、千春ちゃんから鋭い指摘が入った。


ほんとその通り、一日駆け抜けたかのようにすでに体は疲れ切っていた。


きっとあたし、いまものすごいげっそりしてるんだろうなぁ。



「あのね……」



わけを話すと、千春ちゃんはにやりと笑う。



「狙った獲物は逃がさないって感じだね。さすが鳳凰の総長」



獲物!?
あたし獲物なの!?

物騒な言葉に身震いする。



「ここまで来たら愛莉も大人しく諦めなさい!」


「千春ちゃ~ん!!」



そんなのひどいよ~。



「普通は願ってもない待遇なんだからね!」


「そんなぁ」



だとしても、あたしは全力でイヤなのに……。


まるであたしが普通じゃないみたいな言い方にもグサッとくるよ。



「それより、早くあたしたちもジャージに着替えてこなきゃ!」

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