溺愛総長様のお気に入り。
「きゃあ~」
「はははっ」
みんな楽しそうだなぁ。
そもそも身長差がありすぎるペアもあるから、すごく大変そうなんだけど……。
それでも、先生の思惑は順調に進んでいるようで、どのペアも笑顔がはじけ会話も弾んでいる。
「じゃあ腹筋いくわよ。1分間で計測してねー」
柔軟が終わると、いよいよ測定に移った。
腹筋かぁ。
これはペアの人がいないとちょっと辛いよね。
足を押さえてもらわないと、浮いちゃうし。
そんなことを思っていたとき。
―――バンッ!
閉められていた体育館の扉が開いた。
みんなが動きをとめて、そっちに視線を動かす。
あたしも切れた息を整えながらそこを見れば。
立っていたのは、黒いジャージに身を包んだ男子。
もしかして井上くんが今頃きたとか?
……と思った次の瞬間、ハッと息をのんだ。