溺愛総長様のお気に入り。
「ここか」
それは、いつかひょろひょろくんを助け場所だった。
あまりいい思い出じゃないこの場所に入るのは気が重いなぁ……。
ここへ来ることは誰にも言ってない。
千春ちゃんに言うと、きっと南里くんに伝わって煌くんにも伝わるから。
煌くんに伝わったら、なんで他の男に呼ばれて行くの?とか面倒なことを言われるに決まってるもん。
──コンコン。
ドアが閉まってたので、ノックをしてからゆっくりドアを開けた。
「失礼します……」
そろりそろりと中へ足を進めるけど誰もいない。
あれ?
手紙の彼はまだ?
HRが長引いてるとかで、まだ来てないのかな。
「ほんとに来てくれたんだ」
すると後ろから声がして振り返ると、男の子がひとり立っていた。
彼が田中先輩かな……そう思った瞬間、彼の後ろからまた数人の男の人が顔を出した。
えっ……。
一瞬で頭の中が混乱する。