溺愛総長様のお気に入り。


放課後。



「じゃああたし帰るよー」


「うん、バイバイ」


「今日も煌さんのお相手がんばってね!」


「うっ……」



そう。

あたしはいつも放課後あやめに呼ばれている。


そこで煌くんと少し過ごして(後半は煌くんがあたしの膝で寝て)、家まで車で送ってもらって帰るんだ。


せめて帰りくらい電車で……という願いは聞き入れてもらえない。



「急がなきゃ」



けれど今日は、いつもまっすぐにあやめに向かう足を途中で止める。


今朝の手紙。
……資料室に呼ばれているから。


以前のあたしなら、こんな呼び出しになんて応じなかった。


煌くんたちと接して、少し男の子に対する警戒心が薄れてきたのかも。


男ギライを治すつもりはないって煌くんには言ったけど、今後のことを考えたら治せたに越したことはないし。


ほんとに治り始めてるのか確かめるにもいいチャンスだと思ったんだ。


……荒治療も、あながち効き目が0ってわけでもなさそう。


って、煌くんのペースにのまれちゃダメだよね。


しっかり自分を持たなきゃ。
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