溺愛総長様のお気に入り。
これも、そのひとつ……?
彼はひょろひょろとしていて、ケンカなんてしそうもないのに。
近くにはメガネがあり、フレームはぐにゃっと曲がってレンズは割れていた。
「すみません……そこにスマホが……」
見ると、あたしのちょうど足元にスマホが転がっている。
「……あの……友達に……電話を……」
……これで、助けを呼んでほしいってこと……?
いやいや、やだよ。
もう今すぐここからダッシュで逃げたいよ!
「お願いしますぅ~……」
そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、彼は痛そうにお腹を丸めて泣きそうな声を出す。