溺愛総長様のお気に入り。
倒れていた彼は、藁をもすがるような勢いでほふく前進して"翔和さん"と呼んだ男の人にしがみついた。
こう見ると、彼のひょろひょろさがさらに際立つ。
「誰にやられたんだ」
「夜神(ヤジン)の奴らです……10人がかりで……」
「はあ……またかよ。懲りねえなあ」
「ですよね。どうして僕だけ……」
「ちげぇ。オマエの進歩がねえって話だ」
ぷふっ。
乱暴に放った翔和さんの言葉に、思わず笑いがこみ上げる。
……てことは、いつもこの人殴られてるの?
「どうしてこうもすぐ捕まるんだよ」
「……っ、すみませんっ……」