溺愛総長様のお気に入り。
とりあえず、どうやって逃げよう……それだけを考えていたとき。
「ねえ」
あたしの目を見つめて放つ声はとても低くてゾクっとする。
また、ヘンなこと言われちゃうのかな。
昔の記憶がよみがえって、心臓がバクバクと音を立てた。
「俺の彼女になってよ」
は、はい……?
「な、なりませんっ……」
まともに答えちゃったあたしもあたしだけど。
なに言ってるの、この人。
これってナンパ?
「即答かよ」
あたふたしているあたしの前で、フッと鼻で笑う彼。