ツインテールの魔法
紘は慌てるが、人が邪魔で夏音の元に行けない。
夏音は足を止める。
「カノン……?その顔……お前……黄瀬夏音か?」
夏音は男を睨むと、微笑んだ。
「そうだよ。あなたが愛し、パパと一緒に殺した黄瀬紅葉の娘だよ」
紘と蒼羽は耳を疑った。
二人は夏音の父親が心中をしたとばかり思っていたからだ。
だが、紘は自分の両親に聞いた話を蒼羽にしたまで。
真実など、知っているはずがなかった。
「やっぱり……お前……生きてたか……」
夏音は自分を落ち着かせるために深呼吸をする。
夏音の脳裏に浮かぶのは包丁を向けてくるあの日の男の姿。
泣き叫ぶ父親と母親。
自分をかばうように抱きしめてくれた母親。
赤色に染まる視界。
倒れ行く母親。
すでに傷を負っていたが、それでも守ってくれようとする父親。
なにが起こっているのか、理解はできない。
だが、目を開けずに大量の血を流す母親、父親を見て、気を失った。
それを。
今。
やっと。
夏音は思い出した。
君は家族を邪魔だと言ったじゃないか。
どうして守るようなことをするんだ。
それは気を失う際に聞こえてきた言葉だった。
「紅葉は……最低だった……家族がいるから……俺の物になれないって……言った……だから……殺しに行ったのに……あいつは……」