ツインテールの魔法
「……全校生徒が容疑者ってあったでしょ?その時点で、偽装工作は、ダメになったって考えるべきだよね」
反論の余地がなかった。
「……いい加減、離してよ」
話が終わったと思ったのか、紘に捕まったままの彼女が呟いた。
紘は言われた通り、手を離す。
そして、三人は部屋を出て行こうとする。
「待った!」
すかさず、夏音は呼び止める。
「みんな、ノンについて来てもらうよ。日野先生のところまで」
三人の顔は青ざめていく。
だが、それをお構いなしに、夏音は三人の背中を押して教室を出た。
「紘くんたちも来てね」
夏音は顔を覗かせ、そう言ってすぐに廊下に出た。
「先輩、話は後でしましょう。先に報告です」
朱里は小さく頷いた。
そしてすみれに支えられながら、A講義室を後にした。
◇ ◆ ◇
職員室で、日野の額には血管が浮かび上がっていた。
「お前たちが脅して……橘に盗ませただと?」
三人は並んで下を向いている。
後ろにいる夏音たちからは、表情が見えない。
「橘も、どうしてそんなことをしたんだ。お前なら、注意するなりできただろ」