時のなかの赤い糸



二人の間に流れる不思議な空気。



「………綾野?あれはな」

「聞きたくないですっ」




永倉が説明しようとすると、遥は耳をふさいで「あわわわ」と、全く聞く素振りを見せない。



遥は、聞くのが怖かった。



永倉から女の話が出ることが嫌だった。




「あれはな?」



永倉が遥の手首を掴んでも、なお遥は「あわわわ」いい続けて永倉の言葉を遮った。




永倉はその口を閉ざすために遥の唇を重ねあわせた。




「………あの人にもしたんですか?」



遥が言うと、永倉が遥を見つめた。



「体にも手を出したとか?」



遥は中庭のほうに視線をやって、永倉と目をあわせようとしなかった。





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