時のなかの赤い糸


遥の体の中をサラサラと思い出が流れて腕が疼いた。




今でも腰に刀をさして、痛めている気分だ




「筆、元新撰組2番組長。永倉新八」




先生は言いおえて、遥の顔見るなり「ね?」と笑顔でいった。




「面白そうでしょ?」




なおもまだ先生は話し続ける




「新撰組の中には1人だけ女隊士がいたっていう噂があって、

きっとこの物語はその話しをもとにした話しだと思うの。

多分いや…きっとこの【綾野遥】さんにあてた【永倉新八】の恋文だと思うの」




遥は何度も頷いた。




「そうだと思います。きっと、そうですよ」



(届きましたよ、永倉さん…)



思い出に遥が浸っていると先生は眼鏡を外して微笑んだ。





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