時のなかの赤い糸
「旅のお方なのなら、今夜うちに泊まっていくのがいいですよ」
近藤が遥にニッコリ笑いかけた。
「ありがとうございます!」
遥も立ち上がってお礼をする、パッと新八が遥の前に出た。
「近藤さん、俺も泊めてもらってもいいですか?」
近藤は陽気に土方と目を合わせて笑った。
「ぜひ!」
近藤の瞳がキラキラしていて、壬生浪士組だった頃の事を思い出した。
希望と夢でみちあふれた瞳。
決して、近藤や土方の選択はなんにも間違いなどなかった。
「かっちゃん、試衛館に戻るのか?」
土方が言う。
「うーん。一旦戻って夜にこっちに来るよ」
「わかった」
遥たちは土方につれられ近藤の実家に到着した。
「お邪魔しまーす」
戸を開けると懐かしい畳の香り。
(もうずっとこのままがいい……)
遥は心のなかで呟いた。