時のなかの赤い糸
「いいか?前に遥が進んだこの時代に、また未来人が一人増えてんだよ」
「誰ですか……?」
山崎は暗闇の中で立ち上がって遥の耳もとに鼻を擦り付けるようになるくらい近付いた。
「坂元龍馬。昔は永倉遙と名乗っていたらしいがね」
(永倉遙……!)
一緒に過去に来て、それから新八と遥だけがまた少し進んでしまっていたのだ。
「知ってるんだろ?遥」
「知ってます。その人は、永倉さんの未来の生まれ変わり」
その遙があの〝坂元龍馬〟だったなんて
遥は唖然と立ち竦んだ。
「遥……会いたかった。ごめん許して」
そう囁いた山崎が柄にもなく震えていて、静かに遥を抱き締めた。
「山崎さん……?」
山崎は心の奥に秘めた思いを久しぶりの思ってもいなかった再開で溢れてしまったのだった。
「ごめん。少しだけ……」
遥は静かに頷いた。