時のなかの赤い糸


「永倉っっ!」




門前が騒がしくなると、遥は表情を強ばらせて門前に向かった





「永倉さんっ」



沖田の肩にもたれて帰ってきた永倉は、なんともないようにけろっとした表情をして見せた。




「綾野さん、永倉さん怪我してるので部屋に連れて行きますね」




沖田が丁寧に言うと、永倉はよそを向いた。




(怪我は内緒にしようと思ったのに…)




遥は、「はい」と返事をすると、後から来た原田と藤堂に状況を教えてもらった。




どうも、遥がまだいた時に、腰を怪我していたそうだ



その後、1人で2人に斬りかかられて腕の方をやられてしまって、今治療をしているようだ。




原田自身気付いたのは
永倉の気持ちだった。



斬られた傷からあふれでるような、そんな感情が永倉から放たれていた



そんな風に原田は思った。



(ただ、何かをいっしんに守るために)




心配そうに永倉の自室を見つめる遥を、ずっと原田は、遥からも永倉と同じ感じがすると



見ていた。




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