時のなかの赤い糸
「仕事や。ちょっとついてき」
「……わかった」
滝本が言って、遥はやっと声の主を見ようとすれば、もう滝本と話していた人物はいなかった。
「悪いけど、一人で帰れる?」
遥がゆっくり頷いた。
「なら。じゃあまた縁があったらな」
遥は背中を押されて、一歩進んで振り返ると、滝本は狭い路地へと入っていった。
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「………んー…」
(2日酔いだあ)
頭がグラグラするのを押さえながら遥が目を開いた。
「うわっ」
遥はもっと目を見開く。
永倉の寝顔がすぐそばにあって、状況は永倉に向かいあって抱っこされて寝てるってことだったのだ。
周りを見渡せば場所は壬生寺の境内。
遥の頬がブワッと赤くなった。
同じくらい夕日も赤く染まっている。
すっかり眠っていたようだ。