時のなかの赤い糸


「私は武士です。あいつらのほうがどうかしてたんです」




そう訴える遥を見ながら近藤は困ったように笑みを浮かべる。



(可愛いんだよなぁι)




「…綾野くんもいつの間にか本当の武士になっていたんだね」




近藤はポンッと遥の頭の上に手を置いた。



「だけど。
君に微笑まれたら近付きたくなるし、慕いよられれば触れたくもなる。

ちゃんとその事をわかって、ちゃんと自分の身を守りなさい」




近藤の笑顔を見ながら、遥は一言一言を大事に受け取って「はい。局長」と答えた。




「それにしても、さっきの隊士は随分自分に自信があるみたいだねι」




近藤の笑顔を覗きながら遥がハッとした。




「やっぱりムカつきましたよね?」




遥の言った言葉に近藤は目を泳がせながら頷いた。





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