時のなかの赤い糸
あのときは隙間なんてないほど近付いてお互いの体温を確かめあったんだ。
あの時の永倉の体温を今でも覚えてる。
自分がここに存在することが奇跡
それ以上に何も求める必要はない。
「永倉さん、私そろそろでますね」
「そっか、俺も出る」
ザバンと一緒に音をたてて湯槽を出た。
少し逆上せたかもしれない
フラフラする
と、遥は足元をふらつかせた。
足元の覚束ないまま着替えをすませる。
(本当にダメだ。フラフラする……)
ポッポポッポする体
「遥?大丈夫?」
いつの間にか温泉の外にいた遥が永倉の肩に抱かれた。
意識が朦朧としていて時々記憶喪失になってる
駄目だなぁ、なんて思いながら遥は永倉の肩に身を預けた。