時のなかの赤い糸


「綾野!」

「は『沖田さん、こんにちは』


「綾野さん」


「な『なんですか?土方さん』

「綾野――」


「…『はーい』




(あたしが綾野遥だよ!!未来からきた!!!!)




呼ばれるたびに佐藤綾野が全て返事する。
遥は、どんどんついて行けなくなって、列の一番後ろになった。




―――――――――どうしてこんな風になったのだろう?



いくら遥が考えてもわかる余地はなかった。




「どうなってんの?」




山崎が急に隣に現れた。




「や、山崎さん」



「お前、偽物なん?」



隣を歩いてくれて、少しは楽になった。


「あたしが本物です!!」




遥は山崎を睨み付けた。




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