キンダーガーテン四   ~私の居場所に~

歩み始める。

「来た来た。」

「唯先生、悠人先生おめでとう!!」

パンッ!!

朝からクラッカーの音が、マンションの駐車場に響き渡る。

バスのお迎えに行くと………

いつもの新年だと、幼稚園で会えないお母さん達に

「おめでとうございます。」と挨拶するんだけど………

今日は唯達が「おめでとう」を言われる。

はにかむ唯に笑顔を見せた後、運転席に回り込んで

「悠人先生、やっとだね。」

「唯ちゃんを独り占めって、気分良いでしょう?」

「航先生、泣いてる?
あたしが慰めてあげよっかなぁ~」

「最後の独身男も、唯先生には持っていかれたね!」って

言いたい放題。

航君の気持ちにも気づいてたの?

「結婚式は、是非幼稚園でしてくださいね。
子供たちも喜びますよ。」

一通り騒いで、次のお迎えに行くからとバスを移動させた。

バスに乗り込むと

「今日1日、この調子かなぁ?
朝からクラッカーって…………苦情くるよな?
でも、ありがたいけどね。
これだけ祝ってくれるとは思わなかった。
人気者の唯ちゃんを独り占めにするしね!!」って。

うん、ホントに。

この幼稚園に就職出来てホントに良かった。

先生はもちろん、四人や咲ちゃんや航君。

子供たちに保護者のみなさん。

どの人も温かで、優しい。

ウルウルしてたら

「泣くのは帰ってにしてくれる??」って。

ちょっと前だと

怒らせちゃった。

怖い。って思ってたのに…………

今は、続きの言葉を知っている。

「ウチで……………俺の胸で泣いて。
ここだとヨシヨシしてあげられないから。」

ほらね!!

この幼稚園に通い初めて2年。

まだまだ不安や失敗も多くて、助けてもらってばかりだけど………

先生や周りの人の愛情や思いを

少しだけ汲めるようになったのかなぁ?

額面通りの言葉じゃないことも。
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