お前なんか×××!!!
「な、何よ」
「お前って、ホントに可愛くねぇな」

私はその言葉にムッとする。それは自分が一番よくわかってるから。

「…三神には」
「…三神、君?」

「可愛い女の子になるくせに」
「…」

そんなつもりはない。三神君は、友達で、友達に対する対応のしかたと、変わらないつもりだった。

「そんなに三神の事が好きか?」
「なっ、ちがっ」

慌てて否定しようとした時だった。

「…っ!!」

一瞬の出来事だった。

本当なら嬉しい事なのに、今のは全然嬉しくない。

むしろ、最低最悪な…

私の唇から、仁の唇が離れた。

「三神の事なんて、考えさせない」
「仁なんて…あんたなんか、だいっきらい!」

私は仁の頬をおもいっきり叩くと、資料室を飛び出した。

なんでこんなことになったんだろう?

私は仁の事しか好きじゃないのに。

…この歳になって、ファーストキスとか笑っちゃうけど、こんなのってない。

私は泣き顔を落ち着かせるために、女子トイレに駆け込む、その手前で、誰かにぶつかった。

「すみません」
「…楓ちゃん?どうしたの?」

…こんな時に、ぶつかったのは、三神君だった。
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