お前なんか×××!!!
「あれぇ?こんなに綺麗な格好してるのに、お姉さん1人?」

3人組のうちの1人が私に声をかけてきた。

私は作り笑顔をなんとか浮かべ、それに答える。

「向こうの方で友達が待ってるので」

そう言って、歩き出す。

早く進みたいのに、この人混みだ。無理に等しい。

当然3人組の怖い人たちも並んで歩く。

「お友だちもいるんだ!よし、一緒に行こうよ、ね」

…しまった、そう思った。

嘘でも『彼氏』が待ってると言うべきだった。

でも、後悔してももう遅い。

とにかく、友美たちに合流しよう。

そうすれば、三神君だっているんだし。

怖い人たちを見た周囲の人たちは、怖くて道を開けてしまう。

私は涙目になりながらも、必死に友美達を探した。

ここを抜けたら走ろう、そう思って、抜ける間近に用意ドンの構えをしたのに、1人に腕を掴まれた。

「危ないから、手を繋いでよう」

繋ぎたくないっての!!!

私はブンブンと手を振るう。

「暑くて、手が、ベタベタしてるから」

そんな言い訳通用、しないよね。

運良くお巡りさんでも通らないかな?

もう、ホントに泣きそう。

その時だった。

突然目の前に大きなぬいぐるみが。

私は驚いて、思わずそれを片手で握りしめる。

次の瞬間には、怖いお兄さんの手から解放されていた。

「俺の連れになにか?」

ぬいぐるみから顔をひょっこり出してみると、背の高い男が、私の前に立ち塞がっている。

…怖いお兄さん達より、遥かに背の高い男。

そのせいか、男たちは怯んだ。

「あ、お友達、見つかったね。俺達行くね」

そう言うと、そそくさとその場を立ち去った。
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