届かない想い・愛される喜び

洋二さんが
「二人とも落ち着きなさい。
花恋がびっくりするだろう。
ダン君もすまないね。」
と、言うと
ダンは、「いえ。」と、言い
花恋も首をふった。

だが、花恋の手が
ガタガタ振るえているのを見て
ダンは、
「私達は、これで失礼します。」
と、言った。

すると、海音が顔をあげて
「もう‥‥もう少し·····だけ、
花恋と話をさせて貰えませんか?」
と、言う。

どうしたものかと
思っていたときに
携帯がなった。

·······イーサン・・・だ······

「はい。」
「ダン、花恋は大丈夫か?」
「それが・・・・」
と、内情を話すと
イーサンは、一度電話を切った。

それから直ぐに
咲桜の携帯がなり
真理亜からだった。

「真理亜?えっ、そう、わかったわ。
うん、ごめんね。」
と、話して切ると·······

海音は、花恋に
「こんなに苦しめているなんて
思っていなかったんだ。」
「·····もぅ····昔の····事で····す·····」
「だけど、俺をみると
ひどく、怯える。

それは、花恋の中では
終わっていないからなんだろう?」
と、言われて
「それは、人の気持ちは複雑なんです。」
と、ダン。
「だが······」
と、海音が言っていると
来客をつげるブザーがなって
咲桜が対応に出た。

玄関で何か話して
「・・どうぞ・・」
と、聞こえてリビングのドアが開く

ダンが・・
「ええっ!!イーサン?!」
と、叫ぶと同時に
花恋の顔が上がり
花恋の虚ろな目が
イーサンを見つけだすと
瞳に涙が溢れる。

イーサンは
「おいで。」
と、花恋へと手を広げると
花恋は、吸い寄せられるように
ソファーから立ち上がり
イーサンに飛び付く

イーサンは、花恋を抱き締め
「カレン、大丈夫だ。心配ない。
遅くなってすまなかった。
カレン、愛してるよ。」
と、花恋の耳元でささやいた。 

花恋は、頷きながら
イーサンの首に腕を回して
抱きついた。

二人のそんな様子を
咲桜も、洋二も、海音もびっくりして
見ていた。

ダン 一人だけが
ホッとしながらも·····呆れて····

「日本へ来るなら、
いや来てるなら 連絡下さいよ。」
と、叫ぶと
「ああ~、真理亜さんから、
明日、花恋が幼馴染みのお宅に
行くと聞いて·····
それに帰りは明後日ね。
と、言われて
なんだか気になって
日本に飛んだ。
でも、今頃、ルイスが、
騒いでいるかもな。」
と、笑いながら言ったので
ダンはあきれながら
やはり、この人は、凄いわ
と、改めて思った。

イーサンは、花恋を抱き上げると
「きゃっ。」
と、言う花恋に
「つかまってろ。ましてや落とさない。」
と、イーサンが言うと
「うん。」
と、花恋はイーサンに
自分の身体を任せた。

175センチある花恋を軽々抱き上げて
こちらを向き
洋二さんと咲桜さんに
「改めまして、イギリスで
ViVeの副社長をやっています。
イーサン・ベネットと申します。
そして、花恋のフィアンセです。」
と、伝えると
「えっ?・・」
と、花恋。

洋二さん達は、声が出せず

「えっ?って、なんだよ。」
と、イーサン
「フィアンセって?」
と、花恋
「恋人だけでなく、
    結婚したいと言ったろ?」
と、イーサン
「·······うん。······」
と、花恋。
「なら。俺のフィアンセだろ。」
と、イーサンに言われ
「·····そう·····なの····?」
と、答えると
「なんだ、嫌なのか?」
と、言われて
花恋は、首を横にふりながら
「‥‥‥うれしいっ‥‥‥」
と、言うと
「ばかっ、我慢できなくなる。」
と、言うから
「‥‥‥‥‥‥」
赤面する花恋に
「後で、覚えてろよ。」
と、英語を交えて話すイーサン。

「話しがそれてしまいましたが

私の命ある限り花恋を
愛し大切にしますので
ご心配はいりません。

それでは、失礼させて頂きます。
カレン、ダン、帰るぞ。」
と、言うと
ダンは、
「了解。」と。
花恋は、イーサンに
「イーサン、下ろして。」
と、言うが
「却下。」
と、言われて
「もぅ・・
洋二さん、咲桜ちゃん
ごめんなさい。

また、会える日を楽しみにしています。」
と、イーサンの腕の中から
頭を下げた。

洋二と咲桜は、はじめはびっくりしたが
イーサンの溺愛ぶりに
今は、笑いながら
「うん。その方と幸せになるのよ。」
と、言う咲桜に
洋二も、うんうん、と頷いていた。

イーサンは、花恋を抱き締めたまま
立ち上がり、玄関に向かう。

ダンの後から洋二、咲桜も追い
外にでる。
「お騒がせしました。」
と、イーサンは告げ
車に乗り込もうとした。
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