キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
泊まらせてもらった時は電話越しだった二人はやっぱり、迎えに来た保護者と、子供を預かってた先生みたいな空気感で挨拶を交わしてた。
・・・あたしって。そんなにしっかりしてなくて、放っとけないカンジ? 

「これからも吉井さんのご迷惑にならない範囲で、りっちゃんをお任せするかも知れませんが」

「利津子ちゃん、いい子ですし、迷惑になんてなりませんから」

軽く頭を下げたミチルさんに、睦月さんはふわりとした真っ直ぐな微笑みを向け、そう言ってくれる。お世辞じゃないのが伝わってきて、胸の中がじわっと染みた。

こっちを少し振り返った彼は、柔らかな眼差しで口の端を緩めると、子供にするように頭を撫で。
歩いて帰る、と、車で送るのも遠慮した彼女に目礼し、「じゃあ行こうか」とあたしを優しく促した。



「想像してた通り、しっかりしてて優しそうなお姉さんだね」

駅とは反対方向に走り始めた車の中で、ハンドルを握るミチルさんは横顔で小さく笑んだ。
< 120 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop