キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
他愛もない話をしながら二人で一緒に、遅めの夜ご飯を食べ。
明日の弁当用に残した生姜焼きをフライパンからお皿に移し替えてたら、シャツの袖をまくったミチルさんが、隣りで洗い物を始めた。

「あ、ミチルさん。あたしやるから、お風呂いいよ?」

少し疲れてるように見えたし、気遣うようにあたしが言うと、イケメンさんが顔だけ横に向けて、にっこり微笑む。

「いいから、りっちゃんが入っておいで。僕はそんな軟(やわ)には出来てないよ。じゃなきゃ、りっちゃんを守れないでしょう、一生」

・・・・・・さらっと言われる方が、余計に何も云えなくなる。
赤らんだ顔を逸らして、ラップをかけたお皿を冷蔵庫に仕舞い「じゃあ、お風呂先にもらうね」って半分逃げるように。

「りっちゃん」

不意に呼び止められて振り向くと、半身振り返ったミチルさんが真っ直ぐこっちを見ていた。感情の読み取れない眸で静かに。

「・・・隆弘の妹がりっちゃんで、良かったよ」

初めて言われた。
ミチルさんにとって、それがどういう意味だったのか。でもあたしは問わなかった。

「あたしも・・・。そう思ってる」

小さく笑い返したのを、彼も、淡くふわりと笑みを乗せて応えた。



お兄ちゃんの妹でよかった。
ただそれだけで。あたしはミチルさんのもので、いられる。

どんなカタチでも。どんな愛でも。




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