キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
「今、百貨店出るとこ。買い物終わったから、ご飯でも食べて帰ろうかなってお店探そうとしてた」

『ああ、じゃあちょうど良かった。僕も外回りでこれからお昼にしようと思ってたんだよ。一緒に食べようか』

「ほんと?!」

思わず大きな声が出て、自分で自分の口をはっと押さえる。

『うん。そしたら下倉橋の駅わかる? 乗り換えなしで一本で来られるはずだから、降りたら北口のロータリーで待ってて。多分、僕の方が10分くらい遅れると思うけど、大丈夫?』

「北口で待ってればいいのっ? 大丈夫!」

『急がなくていいから、気を付けておいで』

今にも駆け出しそうな勢いだったのを見透かされたみたいに、クスクス笑われた。 
だって仕事中のミチルさんとゴハン食べるの、初めてだよ?!
こういうシチュエーション体験できるなんて、思ってなかったもん!

通話を切ったあたしはスマホを仕舞うと荷物を片手に、早足で歩き出す。
好きな人にデートに誘われて、待ち合わせ場所に向かう時の気持ちってこういうの?
したことないけど、メチャクチャ浮かれてニヤケたくなる~っっ。

すれ違う人が見たら、すっごいだらしないカオで不気味だったかも?
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