キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
たっぷりのソースが鉄板で焦げる香ばしい匂い、泳ぐカツオ節。青のりはちょっと控え目で熱々をいただく。サクッふわっ、で文句なしに美味しい。

「ミチルさん、焼き加減ばっちり!」

はふはふしながら絶賛すれば。

「失敗したら隆弘に怒られそうだしね。・・・りっちゃんに合格点もらえて良かった」

テーブルの向かいで微笑むミチルさんの眼差しは、あたしを通り越してもっと遠くを見つめてる気がした。





「少し遠回りして帰ろうか。途中にね、夜景が綺麗に見える場所があるんだよ」

お店を後にして走り出した車の中で、デザートにミニチョコパフェまで平らげて満足なあたしに、ミチルさんが優しく言う。
・・・まるで。食事に誘った恋人とのデートを、まだ楽しんでいるかのように。

「・・・うん」



ミチルさんがそうしたいなら。
それでミチルさんを悲しくさせずに済むなら。

あたしは笑える。
嘘で抱かれても、嘘で愛されても。

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